鉄線は大好きな花の一つです。一輪でドラマチックな佇まい。色も深みがあって存在感があります。今回のグループ展では、前回アップした玄関のお迎え花にも使いましたが、銀座の古美術桃青さんからお借りした貴重な掛け軸を飾った部屋には、初田徹さんの竹花籠に同じく鉄線を、リョウブとともにいけました。
花を描いた掛け軸に合わせて花をいけるのは、なかなか難しいことです。呼応し、掛け軸と相まって、美しい空間になるように。

ギャラリー展示のほかの作品と違い、この竹花籠は自分のものなので、ある程度使い慣れており、数パターンのいけ方を考えていましたが、最初はリョウブの枝ぶりから、すっとまっすぐ伸びあがるようにいけ、鉄線をあわせてみました。そうすると、どうしても鉄線の花の向きが正面に近い状態になって、華やかだけれど、深みが感じられませんでした。
ここの場所には、語り掛けるような余韻が、ここで完結しない揺らぎがでるといいなぁと、きれいというより、凛と美しい花を目指してみました。
初日から花が開いていたし、掛け軸のためにライトアップもしていたので、4日間の会期中に、しおれてしまうことを覚悟していましたが、何のマジックか、しっかり持ってくれました。鉄線は切り口を歯でかんだり、はさみの持ち手でしごいたりして筋状にすることが水揚げのポイントです。